離婚でいちばんの犠牲者はお子さんです。親権は家や親の見栄ではなく、お子さんの幸せを第一に考えて話し合いをしなければいけません。
親権とは、未成年のお子さんが20歳になるまで、お子さんを監督、保護、教育をし、お子さんの財産を管理する父母の権利であり、 義務のことをいいます。(親権は、お子さんが20歳になれば、自動的に消滅します。)
親権を行使する人のことを「親権者」といいます。
わかりやすく言えば「お子さんの監督責任者」とでもいいましょうか。
父母の婚姻期間中は、父母がそろって親権者となります。ですが、「この人がこの子の親権者ですよ」とは、何を調べても、どこにも記録されておりません。未成 年のお子さんをお持ちの父母の皆さんは、当然に親権者となります。
しかし…父母が離婚をするとなると、話は違ってきます。
離婚をするときは、父母のうち、どちらか一方を親権者に定めなければいけない決まりになっています。つまり、離婚後は、父母が両方そろって親権を行使するこ とができなくなるわけです。
ちょっと、堅苦しいのですが、参考までに次の条文をお読みください。
| 民法第819条第1項(離婚および認知した場合の親権者) 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。 戸籍法第76条第1項第1号(離婚の届出) 離婚をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。 1 親権者と定められる当事者の氏名及びその親権に服する子の氏名 |
つまり
「離婚をするときに、未成年の子がいるときは、父母のどちらが親権者になるのかを必ず決めて、
その結果を離婚届に書いて出しなさい」
ということです。
条文に書いてあるように、離婚届には親権者を記入する欄があります。未成年のお子さんがいるときは、この欄を書かなければ役所では受付されません。 その場で書いてもらうか、または門前払いになります。
離婚届出後のお子さんの戸籍欄には、父母のうち、どちらが親権者になったのかが記載されます。
婚姻期間中は、父母が共同で監督責任者であったものが、離婚によって一方が代表して監督責任者になるカタチになるわけです。
今すぐ相談する!→ このページの上へ離婚をすると、当然のことながら、夫婦(父母)は他人になります。
そして、未成年のお子さんは、父母のうち、どちらかと一緒に生活することがほとんどだと思います (「ほとんど」と書きましたのは、離婚後でも、元夫婦が同居をし続けていることもあるようですので…)。
親権者は、実際にお子さんと一緒に暮らす親がなったほうが、今後なにかと都合がいいことはお分かりだと思います。
ここで、勘違いしないでほしいのは、親権者になれなくても、お子さんに対する親権自体はなくならないということです。
「親権者になれなかった = 親権がなくなった」ということではありません。
「親権を行使すること」がなくなるだけです。
直接、お子さんの面倒を見る責任はないけれど、遠くからは見守ってやらなければいけない…「親」という字の語源みたいなものでしょうか。 親子関係がなくなるわけではありません。
たとえば、離婚のときに「母(妻)」が親権者となったとします。父(夫)は親権者ではなくなりますよね。 でも、父(夫)とお子さんは親子である以上、父(夫)はお子さんと会う権利(面接交渉権)がありますし、 養い育てる義務(主に養育費)もあるのです。父(夫)が亡くなったときは、お子さんには相続権が発生します。
親権を取れなくても、親子であることに変わりはないのです。
今すぐ相談する!→ このページの上へ離婚の最大の犠牲者は、お子さんです。
離婚後の親権者を決めるときは、どちらの親と生活することがお子さんにとって幸せ(ひろい意味で「福祉」とよばれます) なのかを最優先で考えなければいけません。
・生活の面倒は、具体的にどのようにみることができるのか
・住むところはどこがいいのか
・学校、幼稚園、保育園はどうするか
・名字はどうするか など。
ただし、引き取る(親権者となる)親の「経済力」は、さほど考える必要はありません。なぜかというと、 別居する(親権者ではない)親は、養育費を支払う義務があるからです。
仮に、有責配偶者(離婚の原因をつくった配偶者)がお子さんを引き取ったときでも、離婚の原因はどうであれ、
お子さんと別居した親は、必ず養育費を支払わなければいけません。
心情的に、有責配偶者が子どもをつれて離婚したのにおかしいのでは…と考えるのは当然のこと。
ですが、養育費は、すべてお子さんのための生活費用です。親権者のためのお金ではありません。 この点は勘違いしないようにしてください。
また逆に、いくら経済力があっても、実際にお子さんの面倒を見ることができなければ、親権者としては不適格となります。
乳幼児であれば、なおさらです。収入がないから、親権者にはなれない…そうお考えの方、いませんか?
あくまでも、お子さんの幸せ(福祉)が優先されますので、お間違いなく。
今すぐ相談する!→ このページの上へ話し合いで決めるときは、お子さんの意見を十分に尊重する必要があると思います。
参考までに…家庭裁判所で親権を決めるときは、お子さんが15歳以上であれば、必ず意見を聞かなければならないことになっています。
| 家事審判規則 第54条 子が満15歳以上であるときは、家庭裁判所は、子の監護者の指定その他子の監護に関する審判をする前に、 その子の陳述を聴かなければならない。第70条第52条第2項、第52条の2から第55条まで、第60条、 第74条及び第75条の規定は、親権者の指定に関する審判事件にこれを準用する。 |
離婚によって一度決まった親権者は、家庭裁判所へ申立てをして許可をもらわないかぎり、変更することはできません。
余談ですが…離婚を急ぐあまり、離婚届にサインだけをして相手に用紙を渡したために、話し合いをすることがなく、 お子さんの親権を手渡してしまうケースがあるようです。
親権もそうですが、そのほかにも決めるべきことがたくさんあります。離婚も一種の契約です。可能な限り十分に話し合いをしてください。
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「親権は絶対に譲らない!!」
と、相手が頑張っているとき、どうしたらいいのでしょうか。
これからご説明することは、あくまでも参考程度にお読みください。
「へーっ、こんなこともできるのかぁ」程度でかまいませんので…。
<親権を2つに分ける>
「親権を分ける!?」
不思議に思った方もいらっしゃることでしょう。
婚姻期間中の父母は、お互いに「親権を行使する人=親権者」です。
離婚後は、父母の一方だけしか、親権者になることはできません。
本来、なにごともなければ、親権を分ける必要はありません。ですが、どう考えてもお子さんの面倒を見ることができないのに、 相手が「親権」にこだわるときは、親権を身上監護権と財産管理権の2つに分けて考える方法があります。
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民法 第766条第1項(子の監護者の決定) 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議でこれを定める。協議が調(ととの)わないとき、 又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。 |
○身上監護権(しんじょうかんごけん)
身上監護権とは、お子さんを監督、保護、教育することです。
つまり、お子さんと同居をし、身の回りの世話やしつけ、教育などをすることをいいます。このように、お子さんの身上監護を行う人を監護権者といいます。
○財産管理権(ざいさんかんりけん)
財産管理権とは、お子さんが自分名義の財産(不動産など)を持っているとき、お子さんにかわってその財産を管理することをいいます。このように、お子さんの 財産管理を行う人を親権者といいます。(実際、管理するほどの財産をお持ちのお子さんは、そんなにはいないと思いますが…)
いままで、「親権者とはなにか」を説明してきたわけですが、ここにきて「?」と思ったかたも多いのでは。
「親権者」という呼び方が同じなので、ちょっと勘違いするかもしれません。
つまり、本来は離婚によって、父母のどちらかが親権者となり親権(身上監護権と財産管理権)を行使するわけですが、 親権を分けることによって、
親権者 =身上監護権だけを行使する者
監護権者=身上監護権だけを行使する者
のようになります。
あなたがお子さんを引き取りたいときには、相手を「親権者」にして、あなたが「監護権者」となれば、お子さんを引き取ることができるのです。
ただ、監護権者は、親権者のように離婚届に書く必要がないため、親権者と監護権者が分かれていることは、話し合いをした当事者にしか分かりません。
ですので、話し合いの結果をキチンと書面に記録しておかなければいけません。
なにに記録するのかというと→離婚協議書や公正証書に記録します。
ここで、感のいい方なら、気がついたと思いますが…例としてあげておきますね。参考としてお読みください。
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話し合いによって、あなたがお子さんの親権者に決まったとしましょう。 離婚届にも、ちゃんと親権者として提出しました。なお、離婚協議書も公正証書もつくっていません。
しばらくしてから、元夫から連絡があり、こう言われました。 |
元夫の言い分は、単なるヘリクツに過ぎないのですが、でも、もしこのようになったとしたら、あまりいい気分ではないですよね。 よけいな手間がかかりますし、いろいろと面倒になりそうです。
離婚後のトラブルを防ぐためには、親権者・監護権者は誰なのか、離婚協議書や公正証書に しっかりと残すべきです。
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